2024年10月3日木曜日

【運転資金と設備資金】知っておきたい!運転資金とは?その仕組みや資金使途などについて解説します



運転資金とは?

運転資金とは、「企業が事業を行っていくために必要なものの支払いに充てる資金」のことをいいます。

具体的には、原材料や商品の仕入れ費用、従業員の給与、事務所・店舗・工場などの家賃、水光熱費などが挙げられます。事業運営に必要なこれらの諸費用は、売上の入金より先に支払う必要が出てきます。しかし、そのすべてを自己資金で賄える企業は少なく、金融機関からの融資に頼るケースが多く見られます。

運転資金は、売上が発生するまでの期間に企業が安定的に事業を継続できるようにするために重要な資金です。

万一、運転資金が不足した場合、一時的な支払いができなくなり、事業運営や金融機関との取引に支障が出る可能性があります。そのため、企業は適切に運転資金を確保し、管理することが求められます。


運転資金の7つの資金使途

運転資金の代表的な資金使途は、経常運転資金・増加運転資金・つなぎ資金・納税資金・賞与資金・季節資金・ハネ資金の7つがあります。それぞれの資金使途の特徴などについて説明します。

(1)経常運転資金

経常運転資金とは、事業を継続していくために恒常的に常に必要となる資金のことです。      経常運転資金の計算方法は次の通りです。

経常運転資金=売上債権+棚卸資産-仕入債務

※ 売上債権=売掛金+受取手形  棚卸資産=商品・製品等  仕入債務=買掛金+支払手形

上記の数値は決算書の貸借対照表によって確認できます。金融機関はこの方法で計算をしています。

(2)増加運転資金

増加運転資金は、事業拡大や売上の増加に伴って新たに必要となる資金のことです。

例えば、新規顧客の獲得や販路拡大、製品ラインの追加などにより、在庫や売掛金が増加する場合、その資金を賄うために追加で運転資金が必要となります。

(3)つなぎ資金

つなぎ資金とは、材料費や外注費などのまとまった金額の先払いが発生し、売掛金の回収が後にくる場合の一時的な資金不足を補う資金のことをいいます。

建設業やシステム開発業など、1件当たりの受注金額が大きくなる場合に発生します。

(4)納税資金

納税資金とは、企業が法人税や消費税、固定資産税などの税金を支払うために必要となる資金のこといいます。税金の支払いに備えて納税資金を確保できていればいいのですが、手元にある現金が少ない企業は、金融機関から融資を受けて納税資金に充てることもよくあります。

(5)賞与資金

賞与資金とは、企業が従業員に対してボーナスを支給するために必要な資金です。 従業員にボーナスを支払う際にはまとまった資金が必要であり、納税資金と同様に手元の現金が少ない企業は、金融機関の融資によって賄うケースがあります。

(6)季節資金

季節資金とは、季節的な売上や需要の追加に応じて必要となる資金です。

例えば、クリスマス商戦や夏のバーゲンシーズンなど、特定の季節に需要が集中する業種では、その時期に合わせて追加の在庫や広告費、物流費が発生します。これらの支出を賄うために一時的に必要となる資金が季節資金です。

(7)ハネ資金

ハネ資金とは、既存の融資返済が進むことで資金が不足し、新たに必要とされる資金のことをいいます。

本来、借入金の返済は、「当期利益+減価償却費」の範囲で返済するのが基本です。しかし、借入金の返済額が「当期利益+減価償却費」を上回る場合には、新たに借入をしなければ手元の現金が減少して事業を継続することができません。

これを補うための資金がハネ資金です。


安定的経営のために…

運転資金は、事業運営を順調に継続していくための「血液」ともいえる資金です。

仮に運転資金が不足してしまうと、人間でいえば「血液」が止まることになりますので、非常に深刻な状態といえます。

金融機関の担当者や税理士・コンサルタントなどの専門家に財務的な相談をしながら、必要な運転資金が確保されているかを常にチェックし、安定的な経営を目指していきましょう。



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