小さな会社の中には、金融機関の印象を気にして無理やり黒字決算にしている経営者が少なくありません。
一般的には、赤字決算の企業に対して、金融機関の融資審査は厳しくなりますので、黒字を計上しておく方が好ましいと言えます。
しかし、事業を正常に運営するうえで黒字化になることはよいのですが、金融機関との関係において、無理やり黒字化することがどれほど重要なのかは考えてしまうところです。
そこで今回は、赤字決算が金融機関との関係にどのような影響を及ぼすのかについて、解説します。
赤字決算でも問題ない?
「近いうちに設備投資を計画しているので、その資金を融資で調達したい」
「資金繰りが苦しく、このままでは運転資金が回らないので融資を受けたい」
このような場合、決算書を黒字化しておくことは理解できます。
しかし、資金需要がない企業の場合、決算書が赤字でも問題はないのでは…と考える経営者は多いでしょう。
当社でも、「現在、金融機関から借入はあるが、数年間は資金調達の必要がありません。金融機関には年に1回、決算書を提出していますが…」というクライアントが多数いらっしゃいます。
このようなクライアントから、決算と金融機関の関係性についてアドバイスを求められた場合、私は次の通り回答していることが多いです。
「黒字化を継続しておいたほうがよいでしょう」
金融機関との関係性も重要!
赤字決算を回避するために、「減価償却費を計上しない」ことで黒字化させている決算書をよく見ます。
そのような決算書を金融機関に提出して融資を申し込む場合、大切なのは「黒字の決算書」ではなく「金融機関との関係性」です。
事業者と金融機関の関係が良好で信頼関係が構築できていれば、たとえ赤字決算でも担当者は融資できるように動いてくれるでしょう。前述の「減価償却費をあえて計上しないことで黒字化している決算書」にも、目をつぶってくれるケースが多く見られます。
しかし、事業者と金融機関との関係が良好でなければ、減価償却費を計上せず無理やり黒字化した決算書を見て、
「この決算書ですが、減価償却費を計上すると赤字決算になりますね」
と、融資を断る理由にされてしまいます。
融資の前提は「返済可能性があるか、ないか」ですので、決算書が赤字か黒字かは重要なポイントです。しかし、銀行員も人間ですから、良好な関係を築けていて信頼のおける事業者に対しては、強い味方となってくれます。小さな会社においては、それをうまく利用するできるほど有利になるでしょう。
次回の記事では、「決算の黒字化をおすすめする3つの理由」についてお伝えします!
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